郵便番号

うみの イルカ

2010年09月21日 01:08

郵便局の配達受持ち区域ごとにつけられた番号。

郵便番号は1962年西ドイツで採用されたのがはじめで,その後アメリカ,イギリス,フランスをはじめとする欧米諸国からフィリピン,台湾,韓国などのアジア諸国に至るまで多くの国々でその価値が高く評価され,世界的な趨勢(すうせい)として採用されてきている。

日本においては,郵便番号制は郵便事業近代化の主軸として1968年7月1日に実施された。

当初は5桁であったが,98年2月2日から7桁になった。

従来の5桁の番号は,郵便を送達する経路,郵便局の規模等に基づいて系統的に付定されており,3桁の数字の区域と,さらに2桁の数字をつけた5桁の区域とがあるが,最初の2桁の数字は県等の地域を表しており,3番目の数字はその地区の中心となる郵便局(中継局)の番号を表している。

また,4桁目と5桁目の数字は,その中心局から郵便物が中継されて送られてくる比較的取扱い郵便物数の少ない郵便局,あるいは中心局の私書箱等を示す番号である。

7桁の新郵便番号は,5桁の番号に町域(大字を含む)の番号を付加し,さらに大口事業所には個別に新番号を付定したものである。

[郵便番号の機能]  
(1)町村合併等により全国的に行政区の広域化が図られた結果,一つの行政区(市,区,町,村)をいくつかの郵便局で配達している地域が多い。

従来はこの地域あての郵便物を配達局ごとに区分けするには,その地域の町名,字(あざ)名とその受持ち配達局をすべて記憶していなければならなかった。

しかし引受局ですべて配達局ごとに区分けするのはひじょうに困難であるので,引き受けた郵便物をいったん行政区ごとに区分けして,その地域の中心となる局へ送り,そこで再度配達局ごとに区分けしなおす方法をとっていた。

郵便番号があれば,番号合せだけで容易に,しかも能率的に直接配達局ごとの区分けができるうえ,途中で区分けしなおす手間も省けるので,それだけ郵便が早く届く。

(2)郵便番号の終極の目的である機械による区分けが可能となる結果,人手が少なくてすむので,郵便コストの上昇をおさえることができる。

(3)郵便の差出数は年間を通してたえず変動しており,年末などのように著しく増加したときは,職員の超過勤務などでは処理しきれなくなり,多数の非常勤職員を雇用して業務の運行を確保することになる。

短期間の非常勤職員も,郵便番号があれば,ほとんど訓練なしに能率よく区分けできるうえ,まちがいも少なくなるので,円滑な業務運行が図られ,安定したサービスを提供することが可能となった。


さらに郵便番号が7桁になったことにより,引受けから配達までの作業が次のような仕組みで行われるようになった。

(1)引受けをする郵便局で郵便物に記載された7桁の郵便番号を読み取り,さらに無色透明のバーコードを印刷する。

(2)郵便物の中継をする地域区分局(〈郵便局〉の項参照)でこのバーコードが機械的に読み取られ,配達局別に分けられる。

(3)配達局では区分機がふたたびバーコードを読み取り,郵便物は配達する順番に並べられる。

5桁の番号を用いていたころと比べると,引受けから配達局までの作業に加えて配達作業(配達の順番設定)まで機械的に処理されるところに新番号制の威力がある。

またこれは,バーコードの利用という機械化の大きな進歩によるものである。

なお利用面においては,7桁の番号を記載した場合,市町村(行政区)名の記載を省略してもよいことになったが,そのぶん正確な番号,ていねいなあて所の筆記が要求される。